2003年に発行された「我が名はネロ」は暴君で知られるローマ帝国の5代目皇帝ネロの激動の人生を「機動戦士ガンダム」の安彦良和 氏が全2巻で描いた歴史マンガ。
2019年時点で「我が名はネロ」は電子書籍化されていて「Kindle Unlimited」の読み放題本となっています。
我が名はネロ/安彦良和 著
暴君ネロの激動の人生
紀元1世紀 西暦54年、クラウディウス帝が崩御後に実母・アグリッピナの計略により16歳にしてローマ帝国を手に入れた皇帝 ネロ・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス(37年 – 68年)。
家庭教師セネカの指導のもと、元老院、民衆を味方につけ安定した治世は敷いていたが、正妻の側女である解放奴隷 アクテを寵愛し、奴隷の剣闘士・レムスを側に置くなど奔放な生活を送っていた。
自我が成長したネロは「義弟 ブリタニクス 毒殺」「母 アグリッピナの殺害」「正妻 オクタウィアを処刑」「師 セネカに自死を命じる」など・・・
ひどい人物ではあるが、ローマ大火後のネロの被災者の救済や政策実行に関しては評価されている。
しかし「ネロが火をつけた」という噂が立ちそれを消すためにキリスト教徒をローマ大火の犯人としてローマ帝国による最初のキリスト教の迫害を行った。
初代ローマ教皇 ペトロと新約聖書の著者の一人でもあるキリスト教徒の指導者 パウロはネロ帝による迫害で殉教している。
極悪非道には描かれていない
「我が名はネロ」を読むまえは「ネロ = 極悪非道」のイメージではあったが、暴君の行いはネロの後妻 ポッパエアや、近衛隊長 ティゲリヌスの進言により動かされた感じで描かれている。
尚、歴史家 タキトゥスの評価の低いポッパエアの、前夫であるオトは、後のローマ帝国の皇帝となる。
解放奴隷 アクテと、奴隷の剣闘士 レムスは最期まで登場するが、レムスはネロが心を許していたひとりである。
死後にネロは神格化され「ネロが甦ったという伝説」などが残されているが、そのあたりもマンガのラストで描かれている。